アスベスト(石綿)対策を強化する改正大気汚染防止法が先の通常国会で成立。

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世田谷区議会議員の福田たえ美(妙美)



「建物のアスベスト対策を強化 」
対策を強化する改正大気汚染防止法が先の通常国会で成立。

改正された大気汚染防止法 
 対策を強化する改正大気汚染防止法が先の通常国会で成立した。解体・改修前の事前調査の義務化、アスベストを含む建材を使用した全ての建物を対象とした飛散防止策などが盛り込まれている。改正法の内容や改正の背景について解説するとともに、公明党環境部会の江田康幸部会長(衆院議員)のコメントを紹介する。


■飛散防止へ規制対象を拡大/解体・改修前の調査義務付け


 改正大気汚染防止法は、解体・改修工事前に業者がアスベストを含む建材などの有無を調べ、都道府県や政令指定都市に報告することを義務化し、罰則も強化することが柱となっている。

 業者がアスベストの存在を見落としたまま工事を進めることを防ぐ狙いがある。

 調査・報告の対象となる工事の要件については、今後、関係省令で決まるが、アスベストの有無にかかわらず、解体部分の床面積の合計が80平方メートル以上の解体工事や、請負金額が100万円以上の改修工事が対象となる見通しで、戸建て住宅も大半が含まれることになる。

 飛散防止策が必要な建材についても対象を拡大する。

 これまでは、アスベストを表面に吹き付けた壁材や、断熱材としてアスベストを周囲に貼り付けた配管などレベル1、レベル2と呼ばれる建材のみが対象だった。


 アスベストを含む建材のうち、レベル1とレベル2の建材は全体の3・5%に過ぎないが、レベル3の建材を含めることで全ての建材が対象となる【円グラフ参照】。

 これにより、飛散防止策が必要な解体・改修工事は今後、現在の年約1万6000件の5~20倍に増える見込みだ。

 罰則強化については、飛散防止のために空間をシートで覆うなど規定の方法で除去しなかった業者には、3カ月以下の懲役か30万円以下の罰金が科されることになった。さらに、元請け業者に加え、下請け業者にも作業基準の順守義務を適用する。

 2年以内の改正法施行に向けて国は、解体工事前に建物を調査する専門的な人材を今後3年間で30万~40万人育成する方針だ。

 解体時の適切な除去作業が行われるかも課題で、計画通りの措置の実施と作業終了後のアスベスト取り残しがないことの確認などの徹底を進めるとしている。

■高度経済成長期に大量使用。肺がん、中皮腫などの原因に


 アスベストは日本において、燃えない、加工しやすい、価格が安いといった特性から「夢の物質」とまで言われた。1960年代以降の高度経済成長期に大量に輸入され、多くは建材や水道管に使用され、断熱用としてビルや住宅の吹き付けなどでも使われた。

 ところが、空中に飛散したアスベストの細かい繊維を吸い込むと、肺などに突き刺さり、肺がんのほか、臓器を包み込む膜にできる中皮腫、肺の組織が硬くなり呼吸が苦しくなる石綿肺を引き起こすことが分かった。

 特に中皮腫は、発症者の8割が仕事でアスベストを吸い込んだことが原因とされる。潜伏期間が30~40年と長期間で、自覚症状もほとんどなく、発病まで気付かないことも多い。

 世界的に規制が進む中、日本では、1995年に一部のアスベストについて製造や使用が禁止され、2004年には原則禁止となった。

 しかし、禁止以前に建てられた建物にはアスベストが残っているケースも多く、全国で約280万棟あるとされる。

 アスベストを含んだ建物の解体・改修工事は年々増え続けており、28年には年間約10万棟とピークとなる【グラフ参照】。

 そのため、アスベストの飛散防止策を柱とした、安全対策の実効性を高める必要があった。


■災害時の対応策も重要/党環境部会長・江田康幸衆院議員


 公明党は、アスベストの健康被害について、幅広い救済と徹底した飛散防止策の両輪が重要として対策を訴えてきました。

 さらに今回の改正では、解体業者などの負担が増えることも懸念されることから、公明党は対策の必要性も訴えてきました。改正法には、事前調査の都道府県への報告は電子システムを導入するなどの負担軽減策が盛り込まれています。
 災害に備え、アスベストを含む建材の使用有無の把握を後押しする取り組みを進めることも主張してきました。被災者や災害ボランティアがアスベスト入り建材の撤去で健康被害を起こすことを防ぐ取り組みは重要です。改正法では、アスベストを含む建材が使われている建築物のデータベース化を促進する規定が設けられました。

 今後も公明党は、国民の健康を守る取り組みに全力を挙げる決意です。


■公明、被害者救済策をリード


 アスベストによる健康被害が相次いで報告されて社会問題化したことを受け、公明党は2005年、対策本部を立ち上げた。

 当時、アスベストの健康被害は、労災保険法で補償されていたが、労働者本人以外は対象外だった。また、対象者であっても、請求時効(最長5年)を過ぎてしまうと補償を受けられない場合もあった。

 このため公明党は、現地に足を運び、患者・家族から聞き取り調査を重ね、被害者を救済するための法整備の制定をリード。

 その結果、06年に石綿健康被害救済法が成立し、アスベストを吸って重い病気にかかった人のうち、アスベスト製品の製造工場の周辺で暮らす住民など、労災保険の給付を受けられない人を広く救う制度が実現した。

 08年には医療費、療養手当の支給対象期間の拡大など救済策の拡充を盛り込んだ改正法が成立。11年には、被害者の遺族に支給される特別遺族弔慰金の請求期限を延長する同法の改正を進めた。


公明新聞  2020/07/15 付け

最後までお読みいただき、

ありがとうございました。


世田谷区議会議員     福田たえ美(妙美)

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