熊本地震では、約8万9000棟(18日現在)の住宅が被害を受けており、被災者の中には自宅が損壊し、住宅ローンだけが残ってしまうケースがある。
住宅を再建する際、二重ローンに苦しむことがないよう、一定の要件を満たす場合、
抱えているローンを自己破産せずに免除したり、
減額できる制度が
「被災ローン減免制度」だ。
この制度は、東日本大震災の被災者を対象に、公明党の後押しにより実現した
「私的整理ガイドライン」が基本になっている。
4月から全国銀行協会が中心となって、
2015年9月2日以降に災害救助法の適用を受けた自然災害の被災地域にも用いられることになり、同年9月の関東・東北豪雨(茨城、栃木、宮城)と台風21号(沖縄)を含め、熊本地震の被災地域にも適用される。
公明党の山口那津男代表は、一連の地震で深刻な住宅被害が拡大したことを重視し、10日の政府・与党連絡会議で「被災ローン減免制度」の周知と、金融機関や自治体の取り組みを支援するよう要請した。
対象になるのは、住宅や勤務先、事業所などが被害を受けたことで、住宅ローンをはじめ、自動車や個人事業のローンなどを返済できなくなった人や返済できなくなる見通しになった人。
関係金融機関が同意すれば、預貯金など最大500万円と、被災者生活再建支援金などの公的な支援金を手元に残すことができる。
その上で、できるだけ返済し、返済しきれない分が免除される。また、自己破産とは違い、ローンを払えなかったという情報が金融機関側に残らないことから、新たなローンも組みやすくなる。
具体的な手続きは、最初に、最も多額のローンを借りている金融機関に申し出て、同意が得られれば、無料で弁護士の支援を受けられる。その上で、金融機関に必要な書類を提出し、ローンの返済額や免除額を協議。
最後に、借入先すべての同意を得た上で、簡易裁判所に申し立て、認められればローンの減免が成立する運びだ。
熊本地震の被災に伴う制度利用に関する問い合わせは、金融庁や熊本県弁護士会などで受け付けている。
金融庁の相談専用電話番号は、
フリーダイヤルで0120・156・811(平日午前10時から午後5時まで)。
熊本弁護士会の相談専用電話番号は、
フリーダイヤルで0120・587・858(毎日午前10時から午後4時まで)。
公明新聞 2016年05月20日 付