再配達の負担大きく ネット通販普及で増える宅配

世田谷区議会議員の福田たえ美です。

再配達の負担大きく   ネット通販普及で増える宅配

 
ネット通販の普及が大きく進む中で、宅配の需要は増えているが、人手不足が続いており、担い手の負担が増している。
 
これに拍車を掛けているのが不在などによる「再配達」だ。その削減、配達の効率化へ、国や民間各社は、玄関先に荷物を置く「置き配」など多様な受け取り方法の普及に乗り出している。


■「置き配」で効率化図るが…/集合住宅には“オートロックの壁”

 「今でも荷物の1割くらいが再配達になる。時間と労力の無駄だ」。
 
こう語るのは都内で大手事業者の宅配ドライバーとして働く男性Aさん(34)。
1日に200個程度の荷物を届けるが、15~20個程度が不在などで受け取られず、夜間や翌日以降に再配達する。

 ここ数年で置き配を指定する配達も増えた。Aさんは「置き配で再配達は確実に減った。
防犯への不安もあると思うが、正直、全て置き配にできればどれほど助かるか」と本音を漏らす。

 ただ、マンションなど集合住宅の多くには、共用玄関のドアが閉まると自動で施錠されるオートロックが導入されており、置き配を阻む“壁”になっているとされる。
 
共用玄関付近に荷物を一時的に預けられる「宅配ボックス」を設置している物件も増えているが、Aさんは「満杯で使えず、荷物を持ち帰ることも多い」と語る。

■ドライバーの配達個数5年で3割増

 ネット通販の市場拡大により、国内の宅配便の取扱個数は2023年度で約50億個と5年間で1・2倍に増加。
 
一方、人手不足は深刻で、宅配便ドライバー数は年々減っており、大手事業者のドライバー1人当たりの月間配達個数は5年間で約3割増加している。

 こうした課題の解決に向け、政府や民間企業が着手しているのが、再配達の削減など配達の効率化を図る取り組みだ。

 政府は23年の「物流革新に向けた政策パッケージ」で、再配達率をそれまでの12%から6%に半減させる目標を掲げ、置き配やコンビニ受け取り、宅配ボックスなど多様な受け取り方法の普及を進めてきた。

 中でも、効果が期待されるのが置き配だ。公明党が推進し、国が大手事業者と連携して24年10月から実施した、配達効率のよい受け取り方法を選択した消費者にポイントを還元する実証事業では、再配達の削減効果が最大で3・1%に上るとの結果が得られた。

 こうした取り組みにより、宅配の国内大手3社(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便)の再配達率は25年4月時点で9・5%まで減少している。

■各社が導入の解錠システム、すでに2万棟/共通化へ政府が支援検討

 オートロック付きの集合住宅を巡っては、置き配が可能となるよう、既に大手各社で、配達員が一時的にロックを解錠できる仕組みが開発され、少なくとも2万棟超に導入されている。

 例えば、ヤマト運輸株式会社では、特定の荷物に限り、受取人が置き配を指定し、オートロック解錠に同意すれば、ドライバーが専用アプリで荷物に貼付されたバーコードをスキャンすることでロックを解錠して置き配できるシステムを一部地域で導入している。

 導入できるのは管理組合などが同意している物件に限定されており、ロックの解除は、1回の配達につき1度に限られ、ドライバーの情報なども照合することで安全性を高めている。

 ただ、大手各社が別々のシステムで運用している。これが、集合住宅での置き配拡大の妨げになっていると指摘されている。各社バラバラの解錠システムについて国土交通省は、共通化や連携に向けた取り組みを支援する補助事業を検討している。セキュリティーの確保を大前提に制度設計を進め、早ければ、26年度から実施する方針だ。

■SNS上に流れた“犯罪を助長する仕組み”はデマ

 この事業に関しては、SNSなどで、オートロックを自由に解錠できるシステムを国交省が開発、導入しようとしているとの誤情報が発信され、それを基に「犯罪を助長するような仕組みをつくろうとしている」との“デマ投稿”が拡散した。

 しかし、配達員の身元確認や一度のみの解錠などのセキュリティ対策を徹底した上で、既に実施されている各社のサービスについて、連携を促す取り組みにすぎない。

 中野洋昌国交相(公明党)は9月16日の会見で、こうしたSNSでの一連の誤った投稿について「全くの事実無根」と反論した上で、「置き配に関する防犯上の懸念に対するさまざまな声を聞きながら、配送の効率化に向けて、検討を進めていく」と強調した。
 

公明新聞

公明新聞 2025/10/09 

  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

世田谷区議会議員     福田たえ美

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