世田谷区議会議員の福田たえ美です。
党平和ビジョンを形に

■「人間の安全保障」を推進
公明党は今年5月、戦後80年、被爆80年、国連創設80年という節目に合わせて「平和創出ビジョン」を取りまとめた。
これまで党として個別に進めてきた国連改革、SDGs(持続可能な開発目標)、気候変動、教育、人権、女性や若者のエンパワーメント、さらには、地方発の国際協力や沖縄の基地負担軽減といった取り組みに横串を通すとともに、日本がこれまで培ってきた国際的な信頼を外交の基礎とし、「人間の安全保障」を中心に据えることで包括的なビジョンを提示した。
■法の支配に基づく国際秩序に責任
何より強調したいのは、「戦後70年」と「戦後80年」の違いだ。10年前の時点では、冷戦後の協調の流れがまだ残っていた。しかし現在は、国連安保理常任理事国であるロシアが隣国を侵略し、力による現状変更を続けている。この現実を前に、日本は沈黙していて良いのか。平和国家・日本こそが法の支配と対話に基づく国際秩序の形成をリードする責任がある。
北東アジアの安全保障環境は、厳しさと複雑さを増している。こうした現状を踏まえ、紛争を未然に防ぐためには、対立国を含む多国間の対話を通じた信頼醸成が不可欠だ。そこで公明党は、平和創出ビジョンの中核として「北東アジア安全保障対話・協力機構」の創設を提案した。
同機構を提案するに当たっては、OSCEを大いに参考にした。OSCEについては、「ロシアによるクリミア併合後、ウクライナ東部での停戦監視を担ったが十分な成果を上げられていないのではないか」といった課題も指摘されている。それでも、ウクライナ戦争の停戦が実現すれば、OSCEが果たす役割は依然として不可欠であると認識している。
一方で、現在のアジアには、OSCEのような包括的・常設の安保協力機構が存在しない。ASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)などの枠組みはあるが、常設ではない。常設の安保対話機構が不可欠だ。
■防災、気候変動など共通課題から出発
北東アジア安全保障対話・協力機構の参加国には、少なくとも日本、米国、韓国、中国、ロシア、北朝鮮を含め、北東アジア・北太平洋地域において新たな常設の対話枠組みを設置するべきだと考える。いきなり安全保障の核心を議題にするのではなく、まずは防災や災害救援、気候変動といった共通課題から対話・協力を積み重ねていく漸進的な道筋こそが現実的ではないか。
公明党は、日米同盟を安全保障の基軸としつつ、それを補完する形で多国間の信頼醸成措置を推進していく。
核については、国際賢人会議が指摘するように「核抑止は安全保障の最終形態ではなく、すべての国は依存から脱却する努力を続けねばならない」との認識に立つ。
この立場から、同機構を具体化し、核廃絶・核軍縮の議論を深めていく。
同機構の実現に向け、公明党は既に国会質問や政府への提言を重ね、中国や米国の政治関係者への働き掛けも進めている。国連の中満泉事務次長(軍縮担当上級代表)をはじめ、複数の有識者からも評価の声が寄せられている。
今後の方向性として、①共通課題からの出発②既存の枠組みとの補完③日本のリーダーシップと常設の事務局設置④市民社会・アカデミア・若者との連携――を重視していく。党派を超えて、政治の場での議論も深めていきたい。
唯一の戦争被爆国であり、平和憲法を持ち、国際社会からの信頼を得ている日本こそ、北東アジア地域における信頼醸成の枠組み創設をリードするべきだ。公明党は、北東アジア安保対話・協力機構の具現化を最優先の外交課題として取り組む。同機構の創設を含む平和創出ビジョンの実現を粘り強く推進し、「平和の党」としての使命を果たしていく。
2025/10/14 公明新聞
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世田谷区議会議員 福田たえ美