世田谷区議会議員の福田たえ美です。
令和5年第1回定例会における、公明党世田谷区議団の意見開陳の内容をお伝えさせて頂きます。(当日の意見開陳と若干異なる表現もありますが、ご了承下さい)
意見開陳
人類がかつて直面したことのない新型コロナウイルス感染症との戦いも4年目に入り、社会・経済・生活の正常化に向けた転機を迎えています。一方で、ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が平和を揺るがし、世界経済に与えたダメージの長期化も拭えないことを懸念しています。 こうした世界全体を巻き込んだ嵐にさらされる経験を通し、自分たちの生活は多くの人々の支えと社会の営みがなければ成り立たない、離れた場所を襲った脅威が時を置かずして自分の地域にも及ぶように、世界の問題は相互に深くつながっていることを胸に刻まなければなりません。
重要なことは、何のため、誰のためとの目的観を明確にして、足元から行動を起こす正視眼を基軸に据えることです。我が党は、未曽有の脅威を深くかみしめ、正視眼に基づく行動につなげ、時代の混迷を打ち破ってまいる決意です。
それでは、令和5年度世田谷区一般会計予算外4件の特別会計に賛成の立場から、公明党世田谷区議団の意見を申し述べます。
先に申し述べたように4年目を迎えたコロナとの戦いから、社会・経済・生活の正常化に向けた分水嶺に差し掛かっている一方で、予想以上に進展する少子高齢化、物価やエネルギー価格の高騰は想像もしえなかった状況にあります。この難局をどう乗り越えていくのか、持続可能な地域社会としての軌道を描くのか、具体的な方向性を示していかなくてはなりません。特に、令和5年度の予算は「子ども全力応援」と銘打っておりますが、実のある予算にできるか大きな分岐点でもあります。
特別区税は、当初の見込みから前年度比58億円の増収へと転じており、特別区交付金についても前年度比74億円の増額としています。しかし、感染状況や経済動向、さらに、ふるさと納税による減収など、依然として予断を許さない状況にもかかわらず、区政運営における行政経営改革は一向にその効果も出せず、仮想額が羅列されており、実質的な成果とは全く言えません。
この間、我が党が幾度となく指摘してきました行財政改革については、基金の活用、公有財産の活用、直営から民間への委託や民営化など、区の資産を積極的に活用し、年間約657億円かかる公共施設の整備費や維持管理費は膨張する一方で、区民サービスへ最大限に還元できているとは言い難い状況です。決断をしない、結論を出さない、結果を求めない、保坂区政の参加と協働の弊害と言わざるを得ません。いま一度、何のため、誰のためとの目的を明確にして行動を起こす行政改革に真っ先に取り組むべきと強く求めておきます。
さて、予算特別委員会において取り上げました個別課題は今後注視してまいりますが、我が党として最重要課題として捉えている6点について申し述べます。
第一に、未来への投資についてです。
平成29年より我が党が主要テーマとして推進してきた未来への投資は、少子化の一因ともなっている教育費負担の軽減に全力を挙げてまいりました。区として、新BOP学童クラブ時間延長の全校実施に踏み切り、全ての高校三年生までの医療費無償化そして、学校給食の完全無償化に決断を下したことを大変評価致します。給食費の完全無償化について、単年度で終わらない制度設計を求めて参ります。
さらに、子ども子育て応援都市宣言の本区として、産後ケアセンターの一層の拡充、児童館の未整備地域への民間活用を前提に整備を促進することを強く求めておきます。
第二に、物価高騰対策についてです。
我が党が従前から求めてきたキャッシュレス決済サービス「せたがやペイ」は、昨年の30%還元が大きなウエービングとなり加盟店の拡大で個店支援にも大きく貢献をしたことは評価致します。しかし、30年にも及ぶ賃金上昇が無いまま社会構造での物価高は、私たち区民の暮らしを直撃しています。今後も、区民の暮らしを支える「せたがやペイ」へと発展するよう、国の地方創生臨時交付金をフル活用し、お中元やお歳暮の時期をターゲットにした20%還元と個店への5%キャッシュバックをキャンペーンとして打ち出すことを求めます。一方で、恩恵を受け切れていない区民への配慮も含めて、まちづくりセンターでのスマートフォン教室の充実やフォローアップを着実にできるよう体制を整えていただきたい。
第三に、行財政改革についてです。
平成30年度から導入された新公会計制度は、行財政改革の礎となると期待しておりましたが、一向に従前の改革から脱皮できない状況です。続く入札不調による公共事業の遅延、資材高騰や調達の見通しの不透明さなど、公共事業への影響は、区民生活にも支障をきたす事態であり、無駄な事務経費の増大にも繋がります。民間活用、デジタル化の推進による、業務改善で事務経費の削減、人員の適正配置で改革を大きく前進させるべきであります。
第四に、若者支援についてです。
急激に進む少子化に対して、社会を担う若者に対する支援については、政治の役割任は大変大きいと考えます。国の給付型奨学金制度の拡充への論を持たず、区独自の奨学金返還支援制度の創設や若者世代の社会進出を下支えできる就労準備金制度など区内事業者にとって人材確保へのインセンティブとなるよう取り組むべきです。
第五に、高齢者支援についてです。
少子化対策と高齢者支援は、同時に行う重要な政策です。高齢化の進展に伴う行政の役割は、福祉を中心に据えた行政改革が必要です。
誰もが望む健康。健康寿命の延伸は、個人に委ねるのではなく、区全体として底上げすべく事業展開が必須です。高齢者いきいきクーポン事業の早期実施を求めます。更に、公共交通不便地域対策については、高まる声に反して一向に進まない現状に、何年待たせるのでしょうか。まず、重点エリアに指定している10地区においては、同時進行でスピード感をもって対策を講じるべきです。速やかに事業提案型公募を実施し、鉄道・バス事業社のみならず、タクシーや運輸事業者などから幅広く知恵をお借りするべきと考えます。
第六に、災害・防犯対策についてです。
災害対策については、避難行動要支援者支援については机上の空論としか言いようがありません。誰のために、何をするためなのか、目的と実行が全くずれています。区民の命を守るとの強い責務があれば、現在の手法では全く機能致しません。改めて、確実に支援の手が届くよう進めていくべきです。
また、防犯対策に関しては、狛江市での強盗殺人事件を機に区民の不安が急激に高まっています。防犯カメラ内蔵型自動販売機の設置促進や、各総合支所単位に地域生活安全課を配置し、警視庁との人事交流を活発に進め、犯罪を起こしにくい街づくりへより一層の強化を求めます。
最後になりますが、この3月末日をもって定年退職をされます職員の皆様方におかれましては、長年にわたり区政に御尽力されましたことに深く感謝申し上げます。今後、それぞれの立場で健康に御留意され、御活躍されることを願い、公明党世田谷区議団の意見といたします。(令和5年3月28日)
動画
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
世田谷区議会議員 福田たえ美